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~団長コラム~ 
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ぜんぜん巧くない童話。

 TABAKO.gif

例えば、一番大きい木があって、沢山の葉っぱをつけて。

それは長い事、その地中深くまで伸びる太い根っこに養分を送り続けてきて、

そこからの養分によって生き延びてきて。

豊かな時にはそれにより、その周囲に伸びる細い無数の根もそのおこぼれに預かれたろうが、

地形が変わり日が陰ればそうもいかず、今やその根は腐りかけ。
 

では細い無数の根っこは、次にどの木に頼れば良いか。

しかしそれに対抗出来るだけの大きな木は、やはり以前のそれに対抗するだけの、

深く深く、太い根が、必要であって。だからそれを、持っていて。

自然の原理として細い無数の根っこだけでは、大きな木は作れないのであって。

 

細い無数の根っこは、その、別の深く太い根っこに対し、

それだけの養分を受けるに値しないと判断し、危機感を持つ。当然の危機感。

しかしだからといって急いで闇雲にその葉を落とし、或いは幹を断ち切って、何になるか。

その周囲には、再び一番の養分を得ようとする木、

新たに沢山の養分を得ようとする木が、ただ待ち受ける。

そのそれぞれに、深く太い、根っこがある。

細い無数の根っこからなるたった一つの木、という構造が、

望む形を得られない事、実在不可能な事を、事実として知っているなら。

 

細い無数の根っことしては、とりあえず、ある程度の条件によって、複数の大きな木を、

一番日が当たる養分の豊富な場所に交代に置き、養分を定期的にスライドさせ続け、

それを一つの場所に長く留めないようにするしかない。

今の地形では、一つの木だけでは、余分な養分は生み出せない。

だからそうした、庭師の仕事をしなくてはいけない。

それが出来るシステムだけは、かろうじて幸い、ここにもある。

 

地中に古い古い根っこを持った木が、良い場所を狙っている。

古い根っこの一部から新たに芽生えた木々も、待ち構えている。

これまで養分を得られなかった太い根っこを持った木々も、待ち構える。

今の木をヒステリックに切り倒そうとすれば、そいつらの思う壷。

庭全体に公平に養分を届けてくれる理想の木を見つけようとしても、そいつらの思う壷。

そんなものは、存在しない。

また仮に大きな木々を一気に全て倒してみても、大地は弱くなり細い根も枯れる。

 

それを知ったうえで賢い庭師は、複数の大きな木の大きさや成長を見極めて、

時々その位置を入れ替えて、時々その葉を整える。

そうする事で、徐々に徐々に、庭全体を、整える。

日の当たる場所が少なく、そこから得られる養分も限られる時、

それでも出来るだけ庭全体を整えたいなら、

そうした賢い庭師の視点を持って、庭を見つめないといけない。

 

それなしにどこかの木に諸手をあげて追従したら、
細い根っこなんかは一発で枯れる。
細い根っこがすでにある太い根っこにくっつこうとしても、
全て吸収されるか、枯らされてしまう。
或いは、細い根っこが深く太い根っこになるのには時間がかかる。
急いで束ねても機能はしない。

何より、時間をかけないと、庭は整わない。
もしも無理に一気に庭を整備しようとすれば、
思わぬ奇形の木が、そこに巨大化するとも限らない。

 

再び地形が大きく揺らぎそうな中では、

色々な木々と根っこがありとあらゆる方法で、

日の当たる場所を求め、養分を得ようとする。

今の庭は確かに理想の庭ではないし、一番大きな木は確かに良い木ではないが、

だからといって、理想の庭や理想の木は、どこかに存在しているものではないので。

それはこれから骨を折って、作っていかなきゃいけないものなので。

 

だからこそ善良な根っこ達は、今、何事にも、

騙されてはいけましぇん。踊らされてはいけましぇん。

おわり。

 

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