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~団長コラム~
こちらは、げんこつ団・団長コラムです。各カテゴリ内に、記事の一覧があります。

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『げんこつ団』-こぼれ話・舞台裏編

TABAKO.gif

さて、げんこつ団をご覧頂いているお客様にはご存知の通り、
げんこつ団の舞台は早変わりの連続であります。その舞台裏は、まさに戦場。

着替えの段取りを一つでも間違えると、大変な事になります。
そのためげんこつ団では、
ゲネ(作品全部を本番通りに通すリハーサル)を重ねに重ねて訓練を積むので、
本番で失敗をするという事は、ほとんどありません。
プラス、げんこつ団では演出がガッツリ決まっております。
そのため、げんこつ団の上演時間は、どの回もピッタリ同じ。
なので、過去にありました、開幕時に「この公演は○時○分に終了します。」というアナウンスから始まり、
ピッタリその時間に照明が落ちる、というネタが、可能になったりします。
はい。そういうわけで、あくまでも事件は、ほとんどないのです。起きてはならぬのです。

つまり以下に書く事柄は、そのほとんどない中での、大変貴重な事件簿です。


まず、シーンを一つ飛ばして次のシーンの衣装に着替えてしまう、
これはありがちな間違いです。でも間に合えば、いいんです。途中で気付けば、いいんです。
しかし間に合わなかった事が、一度だけ。すっかり次の衣装になってしまった事が、一度だけ。
いえ誰がとは申しません。ただ、今も団員である、誰かです。あ。まあ。春原です。
さて、舞台上はすでに明転。板付きの役者が出ています。
しかし、すぐに後から出てくるはずの春原が、待てども待てども出てこない。
舞台上の人間は、裏で何かあったとは思うが、何があったかは分からない。
確か会社だかのシーン。これはもう、仕事をしている演技を鼻歌混じりに続けるしかない。ああ、怖い怖い。
お客様には、演出的に何のためなんだかよく分からない時間が、淡々と過ぎていきます。なんだこれ。
舞台裏では、もう、ただただ着替え直すしかありません。
他の人は自分の作業で手一杯です。淡々と着替えるしかありません。ああ、なんという事。

でもまあこの場合、着替え終わったら何事もなかったように、出ていくだけです。
げんこつ団では、早変わりをネタにしないし、勿論アドリブも厳禁なので、
遅れた事で笑いを取るなどと言う事は、言語道断です。誰も思いもよりません。
失敗は失敗。淡々と行きますです。
そうしていつしか何事もなかったように、舞台は進行していきました。
ただ、楽屋でも舞台上でも誰しもが心の中で、
「す~の~は~ら~…!」と低~い声で唸ったのは、言うまでもありません。
あ、春原の名誉のために言っときますと、そのような失敗はその時一度だけです。
普段は古株団員として、驚くべき早変わりを華麗にこなしておりますです。はい。


さて次は、そんな舞台裏の戦場で起きた、珍事件。
現在公演をおこなっている駅前劇場は、上手(舞台に向かって右側)に楽屋があり、
下手(その逆側)に行くには舞台奥のパネルの裏を移動していく事になります。
その下手でのスタンバイでは、本来一切、声が出せません。
そこで言葉を交わすという事は、本来一切、ありえません。
ですが、当時団員だった岡本は、そこにスタンバイしている際、ふとその耳元に、異様な声を聞いたそうです。
それは、息がかかる程の耳のすぐ近くで、囁かれたそうです。
その声は、人の声とは思えぬ程、深く地の底から響くように、低かったそうです。
「学校だよ…。」
しかし振り返ってもそこには誰も居らず。
「(え?シーンの順番間違った?次は学校のシーン?)」と岡本は一瞬パニクったそうですが、
すぐさま自分の出のキッカケが。もう舞台に出なければなりません。
そこで岡本は、「(遂に聞いてしまったのか…?!)」と、
以前から舞台裏に居ると噂される“霊”の存在を感じながら、舞台に上がっていったそうです。

そして公演後、岡本の「…遂に聞いたかも。」発言を聞き、
「あ。それ自分。」と手を上げたのは、なんと舞台裏を厳しく仕切る、あの植木。
本番中に楽屋で会話をするなと、常に舞台裏を厳しく仕切る、あの植木。
聞くと通り過ぎざまに、岡本に耳打ちをして素早く立ち去ったらしい。
なんなんだ、植木。どうしたんだ、植木。
しかもその時のシーンも次のシーンも、まったくもって、「学校」ではない。
いやよく考えれば「学校」のシーンは、あからさまに、まだまだ先のシーンである。
なにが、「学校だよ…。」だったんだか、いよいよもって、分からない。
しかもその植木自身からして、「なんでそんな事言ったんだかワケ分からん。」との事。
いや。張本人がワケ分からんって。
度重なる早変わりに植木自身も混乱していたのか、はたまた“霊”に操られたのか、
これは今も謎の、珍事件であります。


そう、植木は舞台裏を仕切っております。
一番忙しい身であるにも関わらず、舞台上がスムーズに展開するように、
楽屋では常に周囲にも目を配り、目を光らせております。
その尋常ではない頭の回転の速さには、誰しもが脱帽です。誰しもがそれに、従います。
さてその植木がある公演後のある時、とても怒っておりました。
厳しいながらも、そうして怒りを露にするのは珍しい事です。
植木は出演者を集め、出演者らは戦々恐々と俯いてその周りに集まりました。
そして植木は、あのシリアスな顔を更にシリアスに曇らせて、低く静かな声で言いました。
「時間のある人は、急いで楽屋に帰ってくる人のために、
 暗幕のところで必ず会釈をしろと言ったでしょう…!!」
…ん?エシャク?? あの忙しい時に、なんでエシャク??
「これからは忘れずに皆、会釈をするように。」
そう言ってクールに立ち去る植木に対して、
「それはもしやして、“カイシャク”(幕を開けてあげる事)の事ですか?」とは、
誰一人として、言えませんでした。
次々と楽屋に帰ってくる人にいちいち会釈。ペコペコ会釈。それこそ鬱陶しいです。

さて植木はその他にも、「タイムテーブル」を「ターンテーブル」と表記し、
いったい何が回るんだ?、と、皆を一瞬混乱させたり、
その“ターンテーブル”に、
「12:00~ シュート(照明さんの作業)」という所を、「12:00~ 消灯」と表記し、
何で消灯?寝るの?寝ちゃうの?と、皆を一瞬混乱させました。
でも実際、スタッフも出演者も劇場さんも、
ちょっと考えてみるとだいたい言いたい事が分かるので、そのままやり過ごしたりします。
よってしばらくの間、げんこつ団では、“タイムテーブル”は“ターンテーブル”、
“シュート”は“消灯”だったりしたわけです。
また普段も、暗証番号を相性番号だと思い続けていたり、ザラです。


さてそして次は、今思えばこれまでで最大の事件。
名づけて「ホワイトクリスマス事件」であります。
やはり現場は、駅前劇場。
舞台はその中盤に差し掛かり、楽屋ではいつものごとく、早変わりが行われていました。
驚異的早変わりの最中の植木、普段は手伝いをほとんど必要としない植木も、
この時ばかりは大場に手伝ってもらう段取りになっていました。
楽屋には役者はその二人だけ。他の者は舞台上。
その時です。舞台上に居る者は皆、かすかな音を聞きました。
「ゴン。」「プシュー。」という、耳慣れない音を。
そして、楽屋からほんのり、異臭と煙が。
そのシーンは、スモークが焚かれるはずのないシーン…。

はい。やりました。
着替えを手伝っていた大場は、普段はとてもマイペース。
もともと動作があまり機敏ではないながらも、一生懸命に植木の着替えを手伝っておりました。
しかし急ぐ植木の足に蹴られて、大場はコロリと転倒。
そしてそのコロコロ転がった先は、運悪くも、消火器置き場。
しかも更に運悪く、その消火器の安全ピンが、緩くなっていました。
倒れた大場、倒れた消火器。そして一瞬の間の後、勢い良く噴出される消化剤。
はい、それはまさに、ほんの一瞬の出来事でした。
ほんの一瞬だったはずなのに、記憶の中は、スローモーション。
はい。わたくしその現場をたまたま目撃しておりました。
ああ、その公演は奇しくもクリスマスの時期。
それは「ホワイトクリスマス事件」として、語り継がれるのでした。
以降、ホワイトクリスマスの曲に乗せて、スローモーションで、想像して下さい。

思わず本能的に消火器を抱える大場、
しかし消化剤噴出の勢いに、生き物のように踊り続ける消火器のホース。
泣きながら消火器を押さえる大場。止まらない消化剤。
途端に真っ白になっていく楽屋。衣装の山に降り積もる消化剤。それはさながら雪景色。
徐々に舞台上から更に客席にまで、ほんのりと流れ始める異臭と煙。
大場から消火器を奪って、ラグビー選手のように楽屋からロビーに走る私。
出番となり消化剤を払って笑顔で舞台に上がるも、ほんのりと衣装が白い植木。
植木を見る役者達の目が一瞬泳ぐ。何があった?!
植木が胸を叩く演技をすると、衣装から舞い飛ぶ白い粉。
いったい何があったんだ?!と、動揺しつつも、
何事もないように、演技を続ける役者達。
ああ、ホワイトクリスマス。

さて、その後はロビーにて消火器を抑えつつ受付さんに声を掛け、
一気に素早いお掃除です。劇場さんも駆けつけてくれました。
本当にすみません、有難うございます、本当にすみません。
お陰様で皆が楽屋に帰ってきた頃には、おおよその掃除が済みました。
が、その時間およそ1~2分、勿論完全に元通りになるはずはなく、
大量の衣装はまだ粉にまみれております。
しかし説明をしている暇はない。何かあったようだが、気にしている時間はない。
役者達は淡々と素早く衣装を変えて、舞台を進めるしかありません。
もちろん大場も動揺を抑え、しっかりと舞台を進めました。
…いやあ。よくぞ進めた。よくぞ何事もなく、進んだ。偉いぞ、みんな。
はい。これが思えば一番の事件だったのではないでしょうか。


さて最後に、ゲネでこその事。
げんこつ団の暗転中の転換は、早いです。真っ暗の中、皆、足音を立てずに走っております。
訓練されたその動きは、実にスムーズ。しかし訓練の途中では…。
これまた大場でございますが、ゲネ中、シーンが終わり暗転になり、
椅子を持って急いで舞台裏にハケるはずなのに、なかなか帰って来ない。
予定の出ハケ口ではないところから帰ったのだろうとキューを出し次の映像に入ると、
その薄明かりで、舞台上に椅子を持った大場が。
まだ居た。しかも出ハケ口より一つ先のパネルのところに、ハマっている。
何やってんだ。そこじゃ中に入れない…。
或いは暗闇の中でのクラッシュ。
春原の頭が武輪の腹に激突。長身のはずがなんでそんな低い体勢で走っていたのか…。
また、明転をしてみたら、隣同士に座っているはずの二人が遠かったり、
同じ向きで座っている数人の角度が、バラバラだったり、
…そうした事は、まあ、ゲネではちょいちょい。
いや、あるかないか。いや、最近はない。
しかし何はともあれ本番では、全ての事が、オールクリア、オールオッケーであります。

はい。以上、数少ない舞台裏の、事件簿でございました。
うん、まあ、事件、ってほどではないな。
ほんとうに事件があっちゃ、困ります故。


さて。
次の記事では団員の紹介などを書こうと思っております。
しかし私が紹介すると、過去に紹介したのと同じ感じになっちゃうと思うので、
只今、団員の皆に、質問事項を配っております。

その返答が揃いましたら、掲載します。
どうぞよろしく!

で。
私は私で、他記事を書き進めときます。
どうぞよろしく。

 

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